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『8時間目 普遍的価値「自由」』

 
 思想初心者のための解説「8時間目」を始めます。
 今回の講義から、宣言通りに普遍的価値について考えてみます。普遍的価値とは、自由、民主主義、基本的人権、法の支配、市場経済のことです。これらを個別に紹介していきますね。今回は自由についてです。

 

<自由(freedom, liberty)>
 自由(freedom, liberty)とは、束縛の不在を意味しています。他のものから拘束・支配を受けないで、自己自身の本性に従うこととして語られることもあります。
 この西洋特有の自由概念については、まずは、アイザイア・バーリンの『自由論』が参考になります。バーリンは、二つの自由を提示しています。
 一つ目は、...への自由である「積極的(positiveな)自由」です。ざっくり言うと、俺様が自由に振る舞える状態が良いことだぁ、という考え方です。
 二つ目は、...からの自由である「消極的(negativeな)自由」です。ざっくり言うと、俺様がしたいことをするときに、他人が邪魔できないようにしといてね、という考え方です。
 バーリン自身は、積極的自由に警戒感を示し、消極的自由を目標としています。まあ、積極的自由を警戒するのは分かりますが、消極的自由も悪用されれば危険ではないでしょうか? 普通は、そう考えますよね?
 ここで注目すべきは、J・S・ミルの『自由論』です。この本でミルは、〈人類は、各人が自分でよいと思う生き方をお互いに許し合うことによって、彼以外の他に人々がよいと思う生き方を彼に強いることによってよりも、ずっと大きな利益をかちうるのである〉と述べています。ここだけ読むと、ヾ(。`Д´。)ノ エ─ッ、となりますよね?
 だって、みんなが好き勝手に振る舞ったら、もちろんうまく行く場合もあるでしょうが、たいていは争いごとが起きたり、まとまるものもまとまらなくなったりするわけですよ。ですから、決まり事を作って、みんなで守りましょうっていうことになるわけですよ。それをですよ、決まり事は無い方が良いんだって、そんな我が儘は幼稚園で卒業してくれよってなもんですよ。
 好き勝手に振る舞えば社会が良くなるというミルの『自由論』の主張は、論理的に成り立っていないわけです。そこだけ端的に取り出すと、大方の人たちはおかしいと思うはずなのです。でも、『自由論』で長々と書かれていることを眺めていくと、なぜか自由は素晴らしいなぁという洗脳にかかってしまうわけです(笑)
 もちろん、自由が少ない、つまり、選ぶことができる範囲が制限されている場合に文句を言うこともありますよ。でも、何でもかんでもできるというのは、それはそれで問題なんですよ。危険性のあるものは、簡単に入手できたら困るわけですよ。人の命に関わる可能性があることには、ちゃんと制限をかけておいてもらわないと困るわけですよ。何でもかんでも自由にすると、生活が不安定化してしまうわけです。当たり前の話です。
 ということで、自由は普遍的価値ではありません。自由が必要なときもあるでしょうが、自由にするとまずい場合もたくさんあるからです。そこは、個別に検討してくださいという当たり前の話になります。
 くれぐれも、自由は普遍に妥当するとなどと思わないでください。

 


【補習】
 自由を普遍的価値とか、肯定的価値と見なす現代の価値観は、はっきり言って異常です。
 自由主義者とかリベラリストとか名乗っている人は、愚かな人か、もしくは卑劣な人なので、あんまり信用しないようにした方が良いですよ。
 さらに詳細に「自由」について知りたい場合は、『日本式 自由論』を参照してください。

 

 

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