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『11時間目 普遍的価値「法の支配」』

 
 思想初心者のための解説「11時間目」を始めます。
 今回の講義は、普遍的価値だと言われている法の支配についてです。

 

<法の支配(the rule of law)>
 法の支配(the rule of law)とは、人ではなく法が支配するという法原則のことです。専制的な政府権力を法で拘束してやるぞ~という、英米法系の考え方です。
 法の支配は、法治主義とは異なっています。法治主義は、統治は議会の制定した法律によるべしという考え方です。法の支配では、統治する者も統治される者も法に従うべきだと考えられています。法の支配における「法」には、議会が制定した法律を超えた「基本法」が想定されています。
 では、基本法とは何かというと、具体的な判決の集積が基本法の一般原則だと見なす方法があります。この考え方から、いくつかの結論が導かれます。
 まず、基本法は歴史的な価値観であるということです。イギリス流の法思想に顕著ですが、基本法は古き国制に由来しており、個人の意思を超えたものだと考えられているわけです。この場合、基本法は国ごとに異なることになります。
 次に、法の支配のメリットとデメリットが思いつきます。メリットは、歴史的に成熟した考え方が基になるため、ポピュリズム(人気主義)的な判決を防ぐ役割を果たすという場合です。デメリットは、過去の先例にはおかしな判決もたくさんあるため、自分の欲望に都合の良い先例を探してきて利用するような場合です。
 人は間違いを犯しますから、人の支配に問題があることは分かります。しかし、法の支配だって、結局は人間が行うものなのです。そう考えると、「法の支配」と「法治主義」の差異の間には、実は伝統に基づいた徳治主義の存在があると考えることができます。この観点から考えてみると、法の支配を有意義なものにするためには、徳治主義と法治主義の調和が必要ということになります。それって、日本がずっと歴史的に実践してきたことじゃん、ということに思い至るのです。
 ということで、法の支配は普遍的価値ではありません。法の支配を普遍的価値だと考えると、「基本法」という絶対的なものがあると想定することになってしまいます。これはキリスト教の影響を受けた一種の神話になってしまうわけです。それとは別に、「基本法」を歴史的な価値観に求める方法があって、これは有効な一つの方法だと思われます。この考え方を採用すると、当たり前ですが、歴史性の違いがありますから、法の支配は普遍的価値ではありえません。判決の集積に基づく「法の支配」という構造そのものについても、採用する共同体もあれば、採用しない共同体もあるわけです。

 


【補習】
 法の支配は、それなりに価値がある考え方だと思います。ただ、イギリス流の法の支配を参照するまでもなく、日本では、徳治主義と法治主義の調和は常態だったわけです。日本では、法律を超えた「基本法」に相当するものとして「道」が想定されています。日本の道の思想を知りたい場合は、『日本式 正道論』を参照してください。

 

 

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