『思想初心者の館』「14時間目」「国家」を考える』



 思想初心者のための解説「14時間目」を始めます。

 今回の講義では、いよいよ国家について考えてみます。


 まず、なぜ国家が必要なのでしょうか?

 グローバル化した世界で、もはや国家など必要ないのではないでしょうか?


 ・・・・・・ちゃんと今までの講義を聞いていましたか?


 普遍的価値と呼ばれた価値は、普遍的価値ではありませんでした。

 世の中にある数多くの価値は、それが普遍的価値とされてしまうと、そのことによって悪用することができてしまうのです。例えば、その価値に染まっていない者を、絶対悪として攻撃するといったようなことが行われるのです。


 普遍的価値の存在など、この世界の豊饒性が許さないのです。


 そして思想は語ることを前提としており、そこには異質な他者の存在が必要となるのです。


 それゆえ、世界統一国家を建設して、単一の考え方によって世界を支配することは、精神に対する冒涜となるのです。


 世に存在する数多くの心、それらを単一の思想で統一することは冒涜になります。

 されど、それらの心が、それぞれ好き勝手に振る舞うこと、砂粒の個人が他の心を顧みないこともまた、悲劇であり喜劇。

 ならば、砂粒と単一の間に目指すべき何かがあるはず。例えば、その一つのとして、「国家」という存在が浮かび上がるのです。


 国家について。

 一定の地域において、それなりの数の人々が長期間コミュニケーションを継続すると、そこは「くに(邦、country)」になります。そして、そこに住む人たちが「民族(people)」 と呼ばれるようになります。

 この「民族(people)」が自分たちの「政府 (government)」、つまり「統治機構 (state)」 を持ちたいと考えたときに、「民族」people」は「国民(nation)」となるのです。

 この構造上、国家は、下部構造として「文化共同体 (community)」を、そして上部構造として「経済社会 (society) 」を持つことになります。

 国家は崩壊するまで、継続していきます。国家とは、過去世代から現代世代へ、そして将来世代へと受け継がれていく運命共同体なのです。

 国家の思想が存在しているため、国民はまともな生活ができ、道徳や法律が曲がりなりにも機能しているのかもしれません。

 そうしてその国家は、その国家の思想は、他の国家に対し、他の国家の思想に対し、対峙することになるのです。そうして各国家は、国家間において、均衡によって国際関係を築いていくのです。そうして世界は、思想の交錯が展開される場となるのです。ある思想は、他の思想から影響を受け、また影響を与え合うことになるのです。


 そして、例えば、日本語と呼ばれる言語を持つ国家があります。

 現在世界最古の歴史を持つ、悠久の時の流れの果てに奇跡的に残った日が昇る国。


 それは、

 このグローバルな時代において、

 極東の時代遅れの思想と揶揄されるもの。


 気の遠くなる程の永い年月をかけ、

 磨き抜き護り抜いてきた、

 沢山の人たちの願いによって残された思想。


 数多くの人たちが守り抜いてきた大切な思想。


 すなわち、日本の思想。


 それを、今こそ、語ろう。



【補習】

 それゆえ国家の成立は、人類の歴史に匹敵するほど古いものなのです。

 国家の誕生を近代に求める考え方もありますが、それらの根拠は脆弱です。国家の形態には微妙な変遷があることは確かですが、国家の歴史は人類史に付随するほど古いものなのです。






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