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『序章 和』

【目次】
第一章 日本の和
 第一節 『論語』の和
 第二節 『十七条の憲法』の和
 第三節 日本の和

 

第一章 日本の和
 『十七条憲法』の第一条に、〈和をもって貴し〉とあるように、日本人は和を重んじます。

 

 第一節 『論語』の和

 『十七条憲法』の和は、『論語』からの影響があると言われています。
 『論語』[學而第一]には、〈礼の用は和を貴しと為す〉とあります。この和については、〈和を知りて和すれども、礼を以てこれを節せざれば、亦た行なわれず〉と語られています。礼のために和が重視され、礼によって節度が保たれなければ和は行われないというのです。自他の身分に応じた秩序によって、和が行われるとされています。


kotoba_f00_01.bmp[図0-1] 論語における礼と和

 

 『論語』の和は、あくまでも礼を前提とした和なのです。この『論語』における和と、『十七条憲法』における和を比べることで、儒教の和とは異なる日本の和が明らかになります。

 

 第二節 『十七条の憲法』の和

 『十七条憲法』の内容を知ることで、日本人の和を理解することができます。
 第一条には、〈和をもって貴(とうと)しとし、忤(さから)うことなきを宗(むね)とせよ〉とあります。なぜなら、〈上(かみ)和(やわら)ぎ下(しも)睦(むつ)びて、事を論(あげつら)うに諧(かな)うときは、すなわち事理おのずから通ず〉と考えられているからです。ここから分かることは、自他が反目することなく、互いに論じ合うことによって調和がもたらされるということです。みんなが互いを思い合い論じ合うことで、物事がうまく行くことが日本の和なのです。
 第一条で和が尊重され、第二条で〈篤(あつ)く三宝(さんぼう)を敬え〉とあります。〈三宝とは、仏と法と僧なり〉と定義されています。第三条で〈詔(みことのり)を承りてはかならず謹(つつし)め。君をば天とす。臣(しん)をば地とす〉とあり、天皇と臣民の関係が示されています。第四条には、〈礼をもって本(もと)とせよ。それ民(たみ)を治むる本は、かならず礼にあり。上、礼なきときは、下(しも)、斉(ととのお)らず、下、礼なきときは、かならず罪あり〉とあります。礼の重視は、この段階で出てきます。


kotoba_f00_02.bmp[図0-2] 十七条の憲法における和と礼

 

 日本の礼は、和という前提に立って行われるものなのです。和において礼をなせば、世が大過なく治まるというのです。
 第五条では、〈餮(あじわいのむさぼり)を絶ち、欲(たからのほしみ)を棄(す)てて、明らかに訴訟(うったえ)を弁(さだ)めよ〉とあり、役人の欲望を戒めています。第六条には、〈悪を懲(こ)らし善を勧(すす)むるは、古(いにしえ)の良き典(のり)なり。ここをもって、人の善を匿(かく)すことなく、悪を見てはかならず匡(ただ)せ〉とあり、勧善懲悪が示されています。第七条には、〈人おのおの任あり〉とあり、役割分担の重要性が示されています。第八条では、〈早く朝(まい)りて晏(おそ)く退(まか)でよ〉とあり、勤勉が勧められています。第九条では、〈信はこれ義の本(もと)なり。事ごとに信あるべし〉とあります。
 第十条には、〈人みな心あり。心おのおの執(と)るところあり。かれ是(ぜ)とすれば、われは非とす。われ是とすれば、かれは非とす。われかならずしも聖にあらず。かれかならずしも愚にあらず。ともにこれ凡夫(ぼんぷ)のみ〉とあります。この考え方の上で、日本の和は保たれているのです。〈かの人は瞋(いか)るといえども、かえってわが失(あやまち)を恐れよ〉ということです。
 第十一条には、〈功過(こうか)を明らかに察(み)て、賞罰かならず当てよ〉とあり、正当な賞罰について語られています。第十二条には、〈百姓に斂(おさ)めとることなかれ〉とあり、税の勝手な取り立てを禁じています。
 第十三条では、〈もろもろの官に任ぜる者、同じく職掌(しょくしょう)を知れ〉とあります。官職は互いの職務を知っておき、代替が出来るようにしておくようにということです。そして仕事をつかさどるときには、〈和(あまな)うことむかしより識(し)れるがごとくせよ〉とあり、人と和してずっと協力していたかのように振る舞うべきことが語られています。
 第十四条では、〈嫉妬(しっと)あることなかれ〉とあり、官吏の嫉妬を戒めています。
 第十五条には、〈私(わたくし)を背(そむ)きて公(おおやけ)に向(ゆ)くは、これ臣の道なり〉とあります。私ではなく公に向かうのが日本人だとされています。この心情について、〈初めの章に云(い)う、上下和諧(わかい)せよ、と。それまたこの情(こころ)か〉とあり、第一条に言及して論じられています。
 第十六条には、〈民を使うに時をもってするは、古(いにしえ)の良き典(のり)なり〉とあります。仕事をうまく行うには、時間を考慮すべきだというのです。
 第十七条には、〈それ事(こと)はひとり断(さだ)むべからず。かならず衆とともに論(あげつら)うべし〉とあり、みんなで論じるべきことが語られています。〈衆と相弁(あいわきま)うるときは、辞(こと)すなわち理(ことわり)を得ん〉とあり、多くの人々と論じて是非を判断すれば、道理にかなうことが示されています。

 

  第三節 日本の和

 『十七条憲法』の内容から判断すると、天皇や僧侶や百姓など、それぞれの役割を重視しながらも、みんなで、みんなのことを考えて話し合うことで物事がうまくいくこと、それが日本の和だと言えます。


kotoba_f00_03.bmp[図0-3] 日本の和

 

 この日本の和によって、日本史は紡がれていくのです。
 『新古今和歌集』[仮名序]には、〈大和歌は、昔天地開けはじめて、人のしわざいまだ定まらざりし時、葦原中国の言の葉として、稲田姫素鵝の里よりぞ伝はれりける。しかありしよりこの方、その道盛りに興り、その流れ今に絶ゆることなくして、色に耽り心を述ぶるなかだちとし、世を治め民を和らぐる道とせり〉とあります。日本の歌の道は、和を尊び世を治める道でもあるのです。
 山片蟠桃(1748~1821)の『夢ノ代』には、〈スベテ政ハ下ノ心ノ和スルヲ以テ行ハレ、不和ヲ以テヤブル〉とあります。日本の政治は、和をもって行われ、不和をもって破れるというのです。
 日本は、和によって治まる国なのです。

 

 

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