『アホガール(5) (ヒロユキ)』―言葉の意味と概念の本質―



 『アホガール』の5巻目です。今回も、世の中の鋭い真実があぶりだされています。今回は、「その74」について考えてみましょう。

 主人公のよしこの家に、保険会社の営業ウーマンが訪ねてくるところから話ははじまります。親は留守なのですが、営業ウーマンは、よしこを保険の虜にして親が戻ったらそのまま契約という作戦を思いつきます。そのため、営業ウーマンはよしこに各種の保険を紹介するのです。


よしこ 保険って何!?
営業ウーマン はい! 生命保険にガン保険。各種取り揃えてます!
よしこ だから保険って何!? 食い物!?
営業ウーマン(心の声) そこから!?


 ここで、よしこのアホさ加減を笑うべきなのでしょう。しかし、ここで安易に笑ってしまっては、ことの本質を見失ってしまうかもしれません。
 よしこはアホなので、「保険」という言葉の意味を知りません。しかし、それは「保険」という言葉が持つ常識に左右されることなく、「保険」という概念に接することができるということです。そのとき、常識というフィルターを介しては見えなかった真実が明らかになるかもしれないのです。
 ここで「保険」の定義をクドクド説明してもしょうがないので、気になる人は辞書を引いてください。めんどうくさいなら、ネットで検索してください。
 営業ウーマンは、保険は安心して生活するためのものだといったようなことを述べます。確かに、そうかもしれません。しかし、ここには見落とされている何かがあるのかもしれないのです。
 そうです。よしこはアホ故に、先入観に惑わされることなく、保険に潜む落とし穴を見抜いてしまうのです。保険による安心......、その安心こそが人を危険に陥れてしまう可能性を!


よしこ 時に安心は力を鈍らせ...幸せを...命を奪う...。


 た、確かに!
 危険に備えるため、人は保険に入ります。しかし、そこで生まれる安心が、慢心になってしまわないと何故言えるのでしょうか? 安心は危機感を薄れさせ、危険に対する心構えすらも失わせてしまうことがあるのです。
 よしこは確かにアホです。しかし、「保険」という言葉を知らないほどにアホであったが故に、常識というフィルターによって隠されていた危険性を見抜いたのです。保険で安心という、保険会社に都合の良いスローガンに惑わされることはなかったのです。見事と言って良いでしょう。
 つまり、この『アホガール』こそ、世の中の真理をあぶり出す高度な思想マンガだったんだよ!!

 (; ・`д・´) ナ、ナンダッテー !! (`・д´・ (`・д´・ ;)




PS.
 「その79」参照。


あっくん ......まぁ、天使かな。
さやか 人間だよ!!


 この話のさやかちゃん、めっちゃかわいい。癒される...。



 

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