『思想遊戯』第二章 パンドラの希望




 一つの神話があります。

 例えば、それは"パンドラの匣"。

 その物語では、神様がすべての悪を封じ込めた匣を、地上における最初の女性であるパンドラに渡します。それは、決して開けてはいけない匣なのです。開けてはいけないのなら、渡さなければ良いのにと思います。

 話の結末は予想通り。開けてはいけない匣は、パンドラの好奇心によって開けられてしまいます。匣からは、ありとあらゆる災厄が飛び出します。パンドラはあわてて匣の蓋を閉めたため、最後に匣の底には希望だけが残ったという、そんな話です。

 だから、人間はどんなに悲惨な目にあっても、希望だけは失わずに済むという...。この神話が基になって、開けてはいけないものをパンドラの匣と言うことがあります。



 私は、私の中に、パンドラの匣が眠っていることを知っています。

 それが開くとき、きっと、愚かでろくでもないことがもたらされます。

 その瞬間を、きっと私は待ち望んでいるのです。











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