『天邪鬼辞典』「あ~お」



≪あ≫

【愛(あい)】

 世界の第一原理のはずだが、その存在は未だアヤフヤな概念。ドロドロした欲望の別名だとの説には、常に一定数の支持者がいる模様。

 とりあえず、よく分からない事態でも愛の問題にしておけば、まわりの皆さんもよく分かっていなくても何となくそんなもんかなという雰囲気になったりしたりする。

 人間を喜ばしたり、絶望させたり、世界を滅亡に導いたりする困った概念。とりあえず、世界平和のために愛の禁止令を出すことも考えるべきではないかな? でも、愛推進派と愛禁止派の抗争は、人類史を貫く永遠のテーマになっているかと思いきや、そんなこともないという。まったく訳がわからないよ。

 愛がないと見えないとか言うけど、愛があっても見えなかったり、愛があると余計なものが見えたりして、やっぱり訳が分からないよ。



【愛国心(あいこくしん)】

 イギリスの文学者であるサミュエル・ジョンソン(Samuel Johnson, 1709~1784)は、「愛国心とは、ならず者達の最後の拠り所である」と言ったそうな。

 『悪魔の辞典』では、「この博識ではあるが、辞典編纂者としては二流どころにしかすぎない博士に対して、当然払うべき敬意は十分に払いながらも、私は、失礼ながら、「最後の」ではなく「最初の」と言いたい」と記されている。

 私は、失礼ながら、当たり前のことを指摘しておこう。ならず者は、最初に持ち出すかもしれないし、最後に持ち出すかもしれないし、途中で持ち出すかもしれない。なんなら、持ち出さないかもしれない。



【挨拶】

 人と人が会ったときに交わす儀礼的な動作や言葉。基本的にした方が良いと考えられているが、しない方が良い場合も多くあることは暗黙的な了解となっている。ここの妙味を分からぬ者は、空気が読めていないと言われたりする。



【悪人】

 天邪鬼とは区別される人間のあり方。天邪鬼を悪人と見なす者は、ユーモアが足りていない。



【悪魔】

 神様に比べると、(特に殺人などにおいて)かなり慈悲深い方々。これは天邪鬼としての皮肉で言っているのではありません。疑うのなら、『聖書(Bible)』と呼ばれている本を読んでみれば良いのです。殺人数の違いがえらいことになっていますから。



【天邪鬼(あまのじゃく)】

 日本の妖怪の一種。人間の心を読むのが巧みで、人の言うことやすることにわざと逆らうひねくれ者だと一般的に言われているらしい。ご存知のとおり、本辞典を頑張って(?)執筆している。ということは、現在もどうやら生存しているということになる。天邪鬼なので、もちろん締め切りは守らないよ(笑)。

 編集者であるモトという奴からは、締め切りを守るように言われるが、しったことではない。「頑張って辞書書けよ」と言うとひねくれて書かない。しかし、「頑張って書くとかダサいよな」とか言われても、やっぱりなかなか書かない。ひねくれ具合は、我ながらたいしたものだと思う。我ながら、もう、どうしたらよいのやら。

 天邪鬼ということで、天邪鬼っぽさを求められすぎている気がするので、そろそろ何の面白みもなく、まじめに振舞ってみようかと思案中。まったく、我ながら天邪鬼である。



【天邪鬼因子(あまのじゃくいんし)】

 精神が関わる現象に作用する可能性の一種。

 ある現象に対して提出された理論において、それに反する結果になるように行為しようとする心理のこと。人類史上において、幅広く見られる現象でもある。

 この因子によって、精神作用が関わる程度に複雑な分野では、科学レベルが一段階引き下げられざるをえなくなる。



【過ち】

 『論語』という大層な書物に、「過ちて改めざる、是れを過ちと謂う」という言葉があるそうだ。なかなか良い言葉だと天邪鬼でも思うが、改めても過ちは過ちだとも思う。過去の失敗を糊塗するのはよろしくないな。



≪い≫

【一般意志(フランス語:Volonté générale, 英語:General will)】

 フランスの詐欺師であるジャン=ジャック・ルソーが書いた『社会契約論』の中に出てくる概念。

 各々の私的利益をぶつけ合って相殺し、過剰なところや不足なところを除けば出てくると考えられている共同利益を主張する意志のこと。

 そんな風に出てきたものは、たまには共同利益になることもあるかもしれないが、ほとんどの場合はそうはならない、という当たり前のことが分からない者ならだますことができる。歴史的には、かなりの大人数が、現在進行形でだまされ続けていることが確認されている。

 さらに滑稽なことに、ルソーは過去に全員一致の同意があったという前提を勝手に置き、国家に住んでいることを根拠としてこの概念を強要しようとしている。

 はっきり言って、騙される方も騙される方だと言わざるをえない。



【いんちき】

 『悪魔の辞典』では、「政治屋の言明、医者の学問、評論家の知識、俗受けを狙う説教師の信仰、一言で言えば、この世の中」とある。

 しかし、いんちきが分かるためには、いんちきではない領域が必要となる。そのため、この世の中がどれだけくだらないとしても、この世の中をいんちきだと言うことはできない。さすがに悪魔の言うことは、悪魔の所業だと感心させられる。



≪う≫

【嘘】

 事実とは違うと思っていることを事実のように言うこと。

 嘘はいけないと言った哲学者がいるそうだが、バカと天才は紙一重というか、天才だけどバカだなと思う。もしくは、本物の悪魔だなと感心させられる。ちなみに、カントのこと。



【運命】

 どのような事態でも構わないのだが、運命を持ち出す者は自分のことをどれだけ偉いと自惚れているのか呆れかえるしかない。

 お前なんかに天命がくだされることなんてねぇ~よ。なんでそれが運命だって分かるのか小一時間ほど問い詰めたいが、よく考えると問い詰めるのが面倒くさいからどうでもいいや。



≪え≫

【栄養】

 生命体が生命を維持していくのに必要なもの。

 摂取した栄養によって、身体状態が露骨に変化するのを感じる。そのとき、ロボットと同じで動力源がないと動けないのだなぁと、どうでもよいことを考えてしまう。



≪お≫

【おもてなし】

 表無しとは、裏側のことなのか?

 表裏という概念がそもそも存在しないということなのか?

 などと、哲学的なようで、実にどうでもよいことを考えてしまう。

 天邪鬼なだけに。






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