名言集:J・R・R・トールキン(1892~1973)
『指輪物語(The Lord of the Rings)』より
[旅の仲間]より
しかしどのような代に生まれるかは、決められないことじゃ。
わしらが決めるべきことは、与えられた時代にどう対処するかにある。
(ガンダルフの言葉)
死んだっていいとな!
たぶんそうかもしれぬ。
生きている者の多数は、死んだっていいやつじゃ。
そして死ぬる者の中には生きていてほしい者がおる。
あんたは死者に命を与えられるか?
もしできないのなら、そうせっかちに死の判定を下すものではない。
すぐれた賢者ですら、末の末までは見通せぬものじゃからなあ。
(ガンダルフの言葉)
しかしすでにあんたは選ばれてしまった。
そこであんたは、もてる限りの力と勇気と知力をふるいたてなければならんのじゃ。
(ガンダルフの言葉)
あなたの周りは、いたるところ広い世界。
垣根をきずいてとじこもることはできても、
垣根の中にいつまでも外の世界を入れないでおけはしないでしょう。
(ギルドールの言葉)
あなたは行かなきゃいけないんでしょ
――だから、ぼくたちもまた行かなきゃならないんです。
(ピピンの言葉)
だけどぼくたちは、あなたを一人で困難に立ち向かわしたり、
一言の挨拶もなしに行かしてしまうことはしませんからね。
これはあてにしたらだめです。
フロドさん、ぼくたちはあなたの友達なんです。
ともかく、そこなんですよ。
(メリーの言葉)
絶望とは、疑いようもない破局を見る者だけにある言葉じゃ。
わしらはちがう。
ほかのあらゆる方法を考慮に入れた後、
それしか已むを得ぬとすることは、
偽りの望みに固執する者にはたとえ愚挙と見えようとも、
これは叡智のなすところじゃ。
よいとも、愚挙という衣に身を包もうではないか。
(ガンダルフの言葉)
この探索の旅は、強者に勝るとも劣らぬ望みを抱いた弱者によってなされるかもしれぬ。
しかし、世界の歯車を動かしてきた功業は、しばしばこのような過程をたどるものよ。
大いなる者の目がよそを向いている時、小なる者の手が、
やむにやまれずして、それをなし遂げるのだ。
(エルロンドの言葉)
大いなる出来事の中では、
どんな英雄も小さな役割しか果たさぬということは、
あんたにももうよくわかっておろう。
(ガンダルフの言葉)
だが、この荷は重い。
その重さゆえに、だれもこれを他人に負わすことができぬのだ。
わたしはこれをあたなに負わせはしない。
しかし、あなたがこれを自分の意志で引き受けるのなら、
わたしはあなたの選択は正しいといおう。
(エルロンドの言葉)
では、道さえあれば、わたしたちは先に進まねばなりません。
(フロドの言葉)
なるほど世の中には危険が満ちみちています。
そしてあまたの暗黒の地があります。
しかし、美しいものもまだたくさんあるのです。
そして今やすべての国にあって、愛は悲しみと混ざり合っているのですが、
それだけに愛はいっそう強まっているのかもしれません。
(ハルディアの言葉)
わたしはあんたを果報者と思う。
なぜならあんたが失ったのは、
他の選び方もできたかもしれないのに、
あんたが進んで選んだことだからだよ。
(レゴラスの言葉)
だが各自、分に応じて動くもの。誠のある人間は堕落しませんぞ。
(ボロミアの言葉)
ただ自らを守る力、正義のための力が欲しいのだ。
(ボロミアの言葉)
わたしは一人で行こう。
信用できぬ者もいるし、信用できる者はわたしにとって大切すぎる。
(フロドの言葉)
だがお一人じゃありません。
おらもまいりますだ。
でなければ二人とも行かないちゅうことですだ。
(サムの言葉)
[二つの塔]より
去年も今も善悪に変わりはない。
またエルフやドワーフと、人間との間に善悪の違いがあるわけでもない。
黄金の森の中であろうと、自分の家の中であろうと、
善悪を弁別するのが人たるものの務めですよ。
(アラゴルンの言葉)
世の中は変わった。だが所によっては今なお不易なのじゃ。
(木の鬚の言葉)
わしは完全にだれかの側についているというわけじゃない。
だれも完全にわしの側についてはくれぬからな。
(木の鬚の言葉)
だが、わが友よ、
歌というものは木と同じで、それぞれの時が到ってはじめて、
それぞれの仕方で実が生るもの。
時には時機を得ぬままに枯死することもある。
(木の鬚の言葉)
すぐに二人が見つかればいいけど、
そうでなければたとえ二人を見つけたってなんの役にも立ってやれないでしょうよ。
ただ二人の傍らに坐って、
ともに餓死することでわれわれの友情を示してやる以外にはね。
(ギムリの言葉)
老人というものはその座の一番賢い人物を話し相手に選ぶものよ。
若い者たちの求めるくだくだしい説明はうんざりなのでな。
(ガンダルフの言葉)
わしは希望的な言葉をのべた。
しかし希望に過ぎぬのじゃ。
希望は勝利とは違う。
(ガンダルフの言葉)
迷う時こそ、一かどの人間はおのれ本来の分限に頼るもの。
わたしはあなた方が味方であり、
邪な意図を持たぬ名誉に値いする方々であると信じています。
(ハマの言葉)
ゆがんだ目には真実もゆがんだ顔にうつるかもしれぬとな。
(ガンダルフの言葉)
裏切り者というのはいつも疑い深いものよ。
(ガンダルフの言葉)
すべてを喰い尽くす破壊者に抗してわれらがおのが命を守る限り、
戦いはあるに違いない。
しかしわたしは輝く剣をその切れ味のために、
矢をその速さのために、戦士をその誉れのために愛しはしない。
わたしはただそれらの守るものを愛するのだ。
(ファラミアの言葉)
その冒険ちゅうもんは物語の中の華々しい連中がわざわざ捜しに出てったもんだろうと。
冒険をしたかったから出かけてったんだろうとね。
冒険ははらはらさせておもしろいし、毎日の暮らしはちょっとばかし退屈ですから。
まあ気晴らしみたいなもんといってもいいですだ。
けど、本当に深い意義のあるお話や、心に残ってるお話の場合はそうじゃねえですだ。
主人公たちは冒険をしなきゃなんないはめに落ちこんじゃったように思えますだ。
(サムの言葉)
[王の帰還]より
この時より以後は、わが主君がわれを解き給うまで、
死がわれを襲うまで、またこの世の終わるまで、
困窮の時も足れる時も、平和にても戦いにても、
生きてありても死なん時も、物いうことと黙すことを、
行なうことと捨て置くことを、来ることと行くことを、ここに誓う。
(ピピンの言葉)
忠誠には愛を、武勇には栄誉を、誓いを破るにおいては復讐を報うべし。
(デネソールの言葉)
気高い心から出た行為というものは
冷ややかな助言によって押しとどめられるべきものではないからなあ。
(ガンダルフの言葉)
なぜならわたしは定められた道を行くのですから、
しかしわたしに従う者たちは、それぞれの自由な意志からそうするのです。
(アラゴルンの言葉)
自らの思うように人生を送って名誉を損なわぬ者はまれです。
(アラゴルンの言葉)
残された時を、われら全員は人おのおののやり方でわれらの敵と戦いながら、
思いを一つにし、望みを持とうではないか。
望みの絶えたあとには、まだ自由に死ぬという剛毅心がある。
(デネソールの言葉)
殿がご存命の限りは、わたしは誓約からも、
殿へのご奉公からも解かれたくはありません。
またかりにかれらが遂にこの城に攻めこむようならば、
わたしはここにいて殿のおそばに立ち、
殿から拝領しました武器に値する働きをいたしたいと望んでおります。
(ピピンの言葉)
予の体は砕けてしまった。
予は先祖たちのところに行く。
かれら偉大な父祖たちと一緒でも、予はもうわが身を恥じることはない。
(セオデンの言葉)
嘆くでない! 許しているぞ。偉大なる勇気は拒まれることはないのじゃよ。
(セオデンの言葉)
あまりに深く悲しみに耽るな、斃れたのは猛き人だった。
その最期はかれにふさわしかった。かれの塚が築かれる時、
女たちに泣いてもらおう。今は戦いが呼んでいるではないか!
(エオメルの言葉)
わたしがはじめて姫を見て、姫の不幸を認めた時、
さながら白い花が真っ直に誇り高く、百合のように姿よく立っているのを見た気がした。
(アラゴルンの言葉)
わしは思慮分別に従えといったのじゃ。
じゃがわしは思慮分別を勧めるのではない。
勝利は武力によっては達成されぬとわしはいったのじゃ。
わしは今なお勝利を期待しておる。しかし武力によってではない。
(ガンダルフの言葉)
この世の時の流れをすべて支配するのがわしらの役目ではない。
わしらの役目はわしらの置かれた時代のために
わしらのよく知る田野の悪を根絶すべく持てる力をつくすことであり、
そうしてこそ後代に生きる者たちがきれいになった土地で耕作ができようというものじゃ。
その時の天気までは責任が持てぬが。
(ガンダルフの言葉)
ぼくたち一緒に死ねるといいのに、メリーとぼくは。
二人とも死ななきゃならない以上は、どうしていけないことがあろう?
まあ仕方がない、かれはここにいないのだから、
ぼくとしてはかれがぼくよりらくな死に方をしてくれるように望むだけだ。
ところでぼくはここで最善を尽くさなくちゃ。
(ピピンの言葉)
まあいい、死ぬまでにここにいる汚らわしいやつらを何人か刺してやるからな。
涼しい陽の光と緑の草がもう一度みたいなあ!
(ピピンの言葉)
優しい心の贈り物である憐れみを軽んじてはいけない
(ファラミアの言葉)
そしてわしの仕事は完了した。
まもなくわしは行くことになろう。
重荷は今度はあんたとあんたの種族が負わねばならぬのじゃ。
(ガンダルフの言葉)
わたしたちが待っていたわけがやっとわかりましたよ。
これがしめくくりなんですね。
今ではもう昼だけが愛せられるのではなく、
夜もまた清められて美しく、夜の恐怖もことごとく消滅するのですね!
(フロドの言葉)
本当に元に戻るということはできませんね。
たとえホビット床に戻っても、わたしには前と同じホビット床には見えないでしょう。
わたしが同じわたしじゃないでしょうから。
(フロドの言葉)
お前さんたちにはまだわかっておらんのかな? わしの時は終わったのじゃよ。
(ガンダルフの言葉)
そして、もし避けられるものなら、だれも殺されてはならないのだ。
最後のぎりぎりまできみたちは我慢して、はやる手を押さえてくれ給え!
(フロドの言葉)
わたしは殺すことは望まない。
たとえ相手がごろつきどもであったにしても、
かれらがホビットを殺傷するのを防ぐために、
どうしてもやむを得ぬ場合は仕方がないとして。
(フロドの言葉)
それでもかれを殺してはいけない。
わたしは傷を負わなかったのだから。
それにいずれにしろ、
わたしはこのような凶悪な気分のままでいるかれを殺したくはない。
かれはかつては偉大だった。
おいそれと手が振り上げられない高貴な者だった。
かれは墜ちた。
そしてその救済はわたしたちの力には及ばぬ。
しかしそれでもわたしはかれがそれを見いだすことを望んで、命を助けたいと思う。
(フロドの言葉)
あんたは賢明にして残酷だ。
あんたはわしの復讐から甘美さを奪った。
そしてわしはこれからはあんたの慈悲を恩に着て、
苦い思いを抱きながら行かねばならん。
あんたの慈悲を憎む、あんたを憎む!
では、わしは行く。
(サルマンの言葉)
私はホビット床を安泰に保とうとした。
そしてホビット床の安泰は保たれた。
しかしわたしのためにではないよ。
愛するものが危険に瀕している場合、
しばしばこうならざるを得ないものだよ、サム。
つまりだれかがそのものを放棄し、
失わなければならないのだ。
ほかの者たちが持っておられるように。
(フロドの言葉)
わしはいわぬ、泣くなとはな。すべての涙が悪しきものではないからじゃ。
(ガンダルフの言葉)
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