TOP 概要 自己紹介 論文 小説 日記 本の感想 LINK


  にほんブログ村 人気ブログランキング に参加しています。1日1クリックお願いします!
  にほんブログ村 哲学・思想ブログ 思想へ         

  

第二部『第六章 ルソーの「自由」』

【目次】
第一節 『人間不平等起源論』
第二節 『社会契約論』
第三節 『エミール』
第四節 ルソーの「自由」についての考察


『第六章 ルソーの「自由」』
 ルソー(Jean-Jacques Rousseau, 1712~1778)は、フランスの啓蒙思想家です。著作である『人間不平等起源論』・『社会契約論』・『エミール』から、ルソーの自由について見ていきます。

 

第一節 『人間不平等起源論』
 『人間不平等起源論』には、〈けだものの活動においては自然だけがなにもかも行ない、それに対して人間は、自由な動因として自然の活動に協力するという相違はある。一方は本能によって、他方は自由行為によって、選んだり捨てたりする〉とあります。さらに、〈自然はすべての動物に命令し、けだものは従う。人間も同じ印象を経験する。しかし彼は自分が同意するか抵抗するかは自由であると認める。そしてとくにこの自由の意識のなかに、彼の魂の霊性が現われる〉とあります。ルソーは、人間だけに備わる意志の特性として、自由という言葉を用いています。
 そのためルソーは、〈自由は人間のさまざまな能力のうちで最も気高いものであるから、狂暴なあるいは無分別な一人の主人を喜ばせるために、この創造主が与えたもののなかで最も貴重なものを無条件であきらめたり、創造主がわれわれに禁じているあらゆる罪を身を屈して犯したりするのは、人間の自然を堕落させ、本能の奴隷であるけだものの水準に身をおき、自己の存在の創造者までも侮辱することにはならないだろうか〉と述べています。

 

第二節 『社会契約論』
 『社会契約論』では、〈人間は生まれながらにして自由であるが、しかしいたるところで鉄鎖につながれている〉という有名な言葉に次いで、社会契約について論じられています。
 社会契約では、〈多数決の法も合意によって成立したもので、すくなくとも一回だけは全員の一致を前提にしている〉とされています。社会契約が解決する基本問題については、〈共同の力をあげて、各構成員の身体と財産を防禦し、保護する結合形態を発見すること。この結合形態によって各構成員は全体に結合するが、しかし自分自身にしか服従することなく、結合前と同様に自由である〉とあります。社会契約の本質としては、〈われわれのだれもが自分の身体とあらゆる力を共同にして、一般意志の最高の指揮のもとにおく。そうしてわれわれは、政治体をなすかぎり、各構成員を全体の不可分の部分として受け入れる〉とあります。
 社会契約においては、一般意志・特殊意志・全体意思の区別が重要になります。〈特殊意志はその性質から不公平を、一般意志は平等を志向する〉とあります。〈主権は一般意志の行使〉であり、〈主権者は集合的存在〉であるとされ、〈人民の一部の意志である場合、それは特殊意志か、あるいは統治機関の行為にすぎない〉とされています。そこでは、〈一般意志は常に正しく、常に公共的利益を志向する〉とあり、〈一般意志のあらゆる合法的行為は、全市民にひとしく義務を負わせ、恩恵を与える〉とされています。〈一般意志がよく表明されるためには、国家のなかに部分的社会がなく、各市民が自己の意志だけに従って意見を述べることが肝心である〉とあり、〈意志を一般意志たらしめるのは、投票者を結合する共同利益で、投票者の数ではない〉とも語られています。〈一般意志は共同利益にしか注意しないが、全体意志は私的利益を注意するもので、特殊意志の総和にすぎない。しかし、この特殊意志から、相殺される過剰の面と不足の面を除去すれば、一般意志がその差の合計として残るのである〉と考えられています。
 自由と社会契約の関係については、〈人間が社会契約によって喪失するものは、その生来の自由と、彼の心を引き、手の届くものすべてに対する無制限の権利とである。これに対して人間の獲得するものは、社会的自由と、その占有するいっさいの所有権とである〉とあります。つまり、〈個人の力だけに制約されている生来の自由を、一般意志によって制限を受ける社会的自由から明白に区別すること〉が必要だというのです。その上で、〈社会状態において得たものには、精神的自由を加えることができよう。精神的自由のみが、人間を真に自己の主人たらしめる。これを加える理由は、単なる欲望の衝動は人間を奴隷状態に落とすものであり、自分の制定した法への服従が自由だからである〉と語られています。
 社会契約の目的については、〈社会契約は、契約当事者の生命維持を目的とするものである〉とあります。ただし、〈他人に損害を与えて生命を維持しようとする者は、必要とあらば、他人のためにも生命を与えなければならない〉ともあります。〈執政体が「おまえの死ぬのは、国家のためになる」と言えば、市民は死ななければならない。それまで彼が安全に生活してきたのは、そういう条件下においてのみであり、その生命はもはや単に自然の恵みでなく、国家の条件つきの贈り物であるからである〉とあります。
 ルソーは、〈法は一般意志の行為〉とし、〈私はどういう行政形態をとろうと、すべて法によって支配される国家を共和国(国家の意)と呼ぶ〉と述べています。そのため、〈君主政さえ共和政なのである〉ということになります。ルソーの用法では、〈民主政〉は〈施政者としての市民のほうが多くなる〉ことであり、〈貴族政〉は〈施政者よりも単なる市民のほうが多い〉ことであり、〈君主政〉は〈政府全体をただ一人の施政者の手に集中〉することなのです。その上で、〈もしも神々からなる人民があるとすれば、この人民は民主政をもって統治を行なうであろう。これほど完璧な政体は人間には適さない〉と述べています。それからルソーは、〈絶対的な基準において最もよい政府とは何であるかと、問う人があるとすれば、その人は、あやふやであるばかりか、解決しえない問題を提出していることになる。あるいは、こう言ってよければ、この問題には、さまざまな人民がおかれている絶対的状況と相対的状況との可能なかぎりの組み合わせと、同じ数だけの正しい解答がある、とも言える〉と述べています。
 ルソーは、〈その本性からして、全員一致の同意を絶対に必要とする法は、ただ一つしかない。それは社会契約である〉と述べています。その上で、〈もし、社会契約の際に反対者が存在するとしても、その反対は契約を無効にしはしない。その反対は、単に反対者が契約に含まれることを妨げるにすぎない。つまり、その反対者は市民のあいだに存在する異邦人である。国家が設立されたならば、同意はそこに居住しているという事実により成立する。領域内に住んでいるということは、主権に服従していることである〉と語っています。

 

第三節 『エミール』
 『エミール』には、〈自分の意志を行なうことのできるのは、そのために他の人の腕を自分の腕の先に継ぎ足す必要のない人間だけだ。そういうわけで、あらゆる幸福のなかで第一のものは、権力ではなくて自由であるという結論が生じる。真に自由な人間は、自分のできることしか望まず、自分の好きなことを行なう〉とあります。

 

第四節 ルソーの「自由」についての考察
 ルソーの自由の観念について、『社会契約論』をまとめると次のようになります。
社会契約により、人間は生来の自由を失い、社会的自由と精神的自由を獲得します。生来の自由を失うことで、すべてに対する無制限の権利を喪失します。社会的自由は一般意思から制限を受け、精神的自由は自分の制定した法への服従を意味します。
 一般意思は常に正しく、公共的利益を志向します。一般意思の行為は法となります。全員一致の同意を絶対に必要とする法が、社会契約です。設立している国家に住んでいる人は、社会契約の同意が成立しているとみなされています。多数決の法も、少なくとも一回だけは全員一致を前提としています。一般意思は、国家の中に部分社会がなく、各市民が自己の意志に従い意見を述べることで表明されます。その際、意志が一般意思であるためには、投票者を結合する共同利益が必要になり、投票者の数は問題になりません。
 さらに『人間不平等起源論』や『エミール』の自由を加味すると、人間は自由によって同意や抵抗を為し、自由な人間は自分のできることを望み、自分の好きなことを行なうとされています。
 ルソーの自由を考察すると、意志が自由であるため、キリスト教における自由意志の影響下にあることが分かります。その上で、社会契約における一般意志において、社会的自由と精神的自由の両方が成り立つことが示されています。これは、危険な考えであり、間違っています。
 一般性とは、各人の意見が一致していることでも、各意見を合計して算出した平均値のことでもありません。異なる意見間の平衡や調和の中に、一般性は生まれるのです。国家は、国家内にいくつかの部分的な意見を持ち、それらを平衡させ調和させることで安定を得るのです。各市民が自己の意志だけに従って意見を述べるのではなく、各人の意志も考慮し、特殊な状況も想定して意見を述べることが肝心なのです。
 同様に国際社会は、国家が国家ごとの思想を考慮し、国家間において調整し合うことで、安定状態を保つことができるのです。

  

 

 第二部『第七章 アダム・スミスの自由』 へ進む

 

 第二部『第五章 ロックの「自由」』 へ戻る

 『日本式 自由論』の【目次】 へ戻る
 論文一覧 へ戻る

 

ウェブページ

Powered by Movable Type 5.12


  にほんブログ村 人気ブログランキング に参加しています。1日1クリックお願いします!
  にほんブログ村 哲学・思想ブログ 思想へ         

  

Access Counter
TOP 概要 自己紹介 論文 小説 日記 本の感想 LINK