本書は、2013年の日本および世界における経済予測、および進むべき方向を指し示しています。数々の論点が示されており、分かりやすくてためになります。
以下に、私が個人的に感銘を受けた点を挙げていきます。
多国籍企業やグローバル企業への批判として、p.29に〈この手のプロパガンダを振りまく際に、彼らは、「それが、あなたがたのためですよ」といったレトリックを使うのだから、欺瞞に満ちているとしか表現のしようがない〉と語られています。まったくその通りですね。
p.179の、〈政府がだめならば、民間もだめというのが正しい認識なのである。この世に完璧な人間はいないし、完璧なシステムもない。人間が企業を経営し、あるいは政治をコントロールする以上、100%を期待する時点で間違っている〉という意見は素晴らしいですね。この意見を聴くと、政府は間違えるが民間もしくは市場は正しいと言う意見がどれほど愚かか分かります。分からない人もいるみたいですが、そういう人は手遅れですね(笑)
あと、p.312の、〈新政権が真っ先にやるべきことは、中小企業金融円滑化法の再延長である。法律的に、あるいは実務的にどれほど困難であろうとも、こればかりは超法規的に動員にやってもらうしかない〉という提案は非常に重要です。これは大きな問題であり、対応を誤ると、日本の現在と将来に大変な禍根をもたらすことになります。
p.319には、〈日本はいまこそグローバリズムの弊害を打ち破り、長期投資国家に脱皮しなければならない。そして、将来のための投資を増やすことことそが、現在のデフレという需要不足を解消する一助になる〉とあります。最高です。
本書への批判はしたくないのですが、p.21~22の〈現在の世界の社会制度を見ると、相対的に民主主義がいちばんマシというだけの話だ〉という意見は変だと思います。三橋さんの↓のブログで、ご自身が周囲を見回すのではなく、歴史に学ぶことの重要性を説いて経済を論じているじゃないですか。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11369125713.html
> バブル崩壊後にそれまでの経済成長路線が通じなくなった日本において、
> 官僚は「歴史に学ぶ」のではなく「周囲を見回し」、
> インフレ対策として成功を収めていたレーガノミクス、
> サッチャリズムに飛びつきました。
政治についても、周囲を見回すだけではなく、歴史に学びましょうよ。
↓参考までに。
http://nihonshiki.sakura.ne.jp/politics/contents.html
民主政体の要素を取り入れることは必要だと思いますが、民主主義が一番良い制度とは思えないんですよね。それに加え、議会制民主主義は直接民主主義ではなく間接民主主義なわけです。ぶっちゃけると、議会制とは、民主政体と貴族政体の混合なんですよね。さらに、日本は天皇のおられる君主政でもあります。ですから、普通に混合政体が民主主義(民主政体)より優れていると思うわけです。