本号の特集は、〈「大阪都」の反乱を許すな〉です。
橋下徹批判そのものよりも、民主主義批判を中心に述べている論考に説得力を感じました。例えば、佐伯啓思さんの「独裁は民主政治から生み出される」の次の二つの文章は、実に説得力があります。
<p.60>
端的に言えば、「大衆化した社会において民主主義を無条件に押し進めると政治は行き詰まる」というのが「理論」だ。大方の現代のいわゆるリベラリズムにたつ政治学者は同意しないかもしれないが、これが本来の民主主義についての「理論」というべきものであった。
<p.63>
こうして民主主義のなかから独裁が姿を現す。何より注意しておくべきなのは、独裁政治は民主主義に対立するのではなく民主主義のなかから出現するという点である。民主主義が独裁を生む。もっといえば、民主主義という制度を通じて大衆は独裁を要求するのである。
他には、西部邁さんの「ペリリュウで聞いた警蹕」の次の文章は、非常に感動的で素晴らしいと思います。
<p.20>
一万二千の将兵の玉砕ぶりには、ただ一言、壮烈のきわみという平凡な形容がふさわしい。その実情を知れば知るほど、「玉砕は"生きて虜囚の辱めを受けず"という戦陣訓による教育の結果だ」という戦後の小賢しい評言は、ジャップのものであって日本人のものではないと断言せざるをえない。
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