宮本又郎さんの『日本経済史(日本放送出版協会)』を読みました。
本書を読む前に、石井寛治の『日本経済史[第2版](東京大学出版会)』と、永原慶二の『日本経済史(岩波書店)』を読んでいたので、本書の評価は甘くなっている可能性があります(笑)。マルクス主義的ではない歴史観を見ることができて、ほっとしました。
例えば、p.23に〈歴史に学びたいことは、人口重心の地域移動は自然に生じたものではなく、先人たちの主体的な営為の結果としてもたらされたものであったということだ〉とあります。良い意見だと思います。
p.57には、〈1945年8月15日、戦争は敗北で終わった。戦争による生産設備の喪失、生活物資難、激しいインフレという情勢のなかで、連合国軍司令部(GHQ)から要求された諸改革を推進しつつ、経済復興を図らねばならなかった〉とあります。深読みかもしれませんが、この「図らねばならなかった」という表現は、ある種の無念さがあるような気がするのです。もしそうなら、無念を無念として感じられるという、歴史に向き合う大切な姿勢が感じられる本だと言えます。
また、p.70の、〈1911年には、明治政府の悲願であった幕末以来の不平等条約のうち最後まで残されていた関税自主権が完全に回復された〉という表現もいいですね。
本書では、日本型経済システムにも肯定的な評価が語られています。全体的に、バランス良く書かれた良書だと思います。
本書を読む前に、石井寛治の『日本経済史[第2版](東京大学出版会)』と、永原慶二の『日本経済史(岩波書店)』を読んでいたので、本書の評価は甘くなっている可能性があります(笑)。マルクス主義的ではない歴史観を見ることができて、ほっとしました。
例えば、p.23に〈歴史に学びたいことは、人口重心の地域移動は自然に生じたものではなく、先人たちの主体的な営為の結果としてもたらされたものであったということだ〉とあります。良い意見だと思います。
p.57には、〈1945年8月15日、戦争は敗北で終わった。戦争による生産設備の喪失、生活物資難、激しいインフレという情勢のなかで、連合国軍司令部(GHQ)から要求された諸改革を推進しつつ、経済復興を図らねばならなかった〉とあります。深読みかもしれませんが、この「図らねばならなかった」という表現は、ある種の無念さがあるような気がするのです。もしそうなら、無念を無念として感じられるという、歴史に向き合う大切な姿勢が感じられる本だと言えます。
また、p.70の、〈1911年には、明治政府の悲願であった幕末以来の不平等条約のうち最後まで残されていた関税自主権が完全に回復された〉という表現もいいですね。
本書では、日本型経済システムにも肯定的な評価が語られています。全体的に、バランス良く書かれた良書だと思います。
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