『表現者42』

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 今号は、玉石混淆な印象を受けました。気になった論考にコメントしてみます。
・「巻頭連載 鳥兜」
 橋下市長の評価にはうなずけるものがあります。しかし原発問題に対しては、〈世界では三十カ国で四五六基の原子炉が稼働しており、中国やロシアなどの十五カ国でさらに六十三基の建設が進んでいる。脱原発はあきらかにこの流れに反している。〉という記述があり、驚きました。私は保守思想から、世の流れがそうだからといって、必ずしもそれが正しいとは限らないということを学ばせてもらったのですが・・・。脱原発を批判するなら、世の中の流れなどというものを持ち出すのではなく、納得できる論拠を示してほしいです。
・「榊原英資の日本改造論 日本人よ「グローバル戦国時代」を生きよ」
 状況認識は正しいとは思いますが、そこから発せられている提言に関しては、正直同意できないところが多かったです。〈平和憲法を変える必要はないし〉とありますが、何でやねん。
・「チベット僧の焼身「抗議」・春秋に義戦あり」三浦小太郎
 たいへん良い論考です。一読の価値ありです。
・「座談会 日本人よ、グローバルな「戦国」時代を生きよ」
 富岡さんの発言に、〈イラク戦争に対して明確に反対をしたのは、この「表現者」の前身である「発言者」なんですね〉とあります。そうなんですよね。他には、小林よしのりさんなどが挙げられます。その快挙があるため、今でも読み続けているんですよね。あのとき、日本の独立自尊の上で、イラク戦争に反対した人と、そうでない人に対し、自分の中で膨大な差ができてしまったんですよね。
・「愚かな投資立国論」柴山桂太
 なるほど、ですね。同意です。
・「ケレンと(しての)暴力」井口時男
 正直、よくわかりませんでした・・・。
・「日本のチベット化を狙う中国共産党」西村幸祐
 こちらもたいへん良い論考だと思います。チベット人の焼身による抗議は、人間が偉大でありえることを示した実例です。それに対し、その行為に反応しないほとんどの現代日本人は、人間の醜悪さの実例です。
・「いま問うべきは「独立の気力」」黒宮一太
 私は「絆」や「連帯」を連呼するのも少なくない意義があると思いますが、「独立の気力」について問うことには大賛成です。

以上、今号はこんな感じで。

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