『世界を変えた哲学者たち(角川ソフィア文庫)』堀川哲

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 本屋で別の本を探しているときに、題名にひかれて手にとって、目次を見て買うのを決めました。15名の思想家を紹介している本です。非常に分かりやすく書かれているにも関わらず、その中身は思想家のポイントを的確につかんでいます。正確で堅実で分かりやすくまとめられている良書だと思います。
 私は、著者の他の本を読んだことはないので、本書だけから判断するのですが、著者は思想家の述べていることを理解し、それを解説する能力が非常に高いと感じました。その反面、「はじめに」のような他の思想家を経由しない意見については、あまりぐっときませんでした。例えば、p7の〈おそらく、グローバルな世界、行き着くところまで行くしかないのでしょう。それに、もうやめようと思っても無理である。もう誰にもとめられない。〉というところなど、○○的感性の無い意見だなぁと思ってしまいました。まあ、この感想は蛇足です。
 思想家の紹介は、どれも大変面白いのですが、個人的に素晴らしいと思ったのはハイエクです。p208に、〈なんと奇妙な自生的秩序であることか!〉とありますが、まったく同感です。ハイエクの立法院に関する見解から、ハイエクの異常性を的確に指摘していく展開はゾクゾクします。私も「ハイエク批判の地平」という題で、別角度から勝手にハイエクを批判したことがあるのですが、ハイエクの自由主義は、かなりの欠陥品なんですよね。「哲学者キャリア・マップ」では、ハイエクについて、〈自由主義も徹底すると病的になる〉とありますが、これにもまったく同感です。
 他の思想家の紹介も、その欠点をズバズバ正確につっこんでいるので、その思想家に盲信していない限りは、たいへん面白く読めると思います。お勧めです。

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