『高橋是清 日本のケインズ―その生涯と思想(東洋経済新報社)』リチャード・J・スメサースト

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   『高橋是清 日本のケインズ―その生涯と思想』を読みました。若干ですが、アメリカ人だからだと思われる意見がありますが、基本的に良く調査して書かれた良書だと思います。
 素晴らしいところを挙げると、 p.345に〈高橋は、西洋諸国によって繰り返し展開される日本と日本人に対する蔑視を他の日本人以上に不快に思っており、英米の価値観を卑屈に擁護していたわけではなかった。むしろ、英米の資本と産業の底力を理解していた堅実な現実主義者であった〉とあります。この点を冷静に指摘しているところに、著者の誠実性を感じることができます。
 また、 p.379の〈高橋は、ケインズ自身がそうであったように、ケインズ主義者であると同時にハイエク主義者でもあった〉という意見も抜群です。ハイエクの提案は、経済において、ある特定の場面では有効に働くこともあります。ですから、経済において時としてハイエク的な提案を行うことは十分にありえるのです。
 ただし、常にハイエクであること(ハイエク主義者であること)は病理です。高橋は、もちろん、そんな病理にはかかっていません。 p.386の注にあるように、〈高橋は、ケインズ同様に、自由な市場と政府の影響力の強い経済の中間的な経済の提唱者であった〉わけです。 

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単純に、高橋及びケインズは、New Liberalist(修正自由主義者)だった、で良い気もしますがね。

しかし、スタグフレーション期(~1980)にNew Liberalismが(ケインズ主義の後退と共に)ほとんど死滅している中、おおっぴらにそう言い辛い傾向があるのだろうか(あるいは、修正自由主義など忘れ去られてしまったか)

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