西部氏と佐高氏の対談形式で、本を紹介している内容です。三書の解説について少し述べてみます。
・坂口安吾『堕落論』
西部氏の解釈が素晴らしいです。佐高氏の解釈は、はっきり言って浅いというか、ねじ曲がっていると感じました。頭の良さ云々というより、ある種の感受性があるかないかで、読み方に一定の階層が生まれてしまうのでしょうか・・・。
・マキアヴェリ『君主論』
これは、二人の解説ともうなずけませんでした。確かに、『君主論』だけ読んだら、こういう感想になるとは思いますよ。でも、マキアヴェリの真価は、『君主論』と『政略論(ローマ史論、リウィウス論、ディスコルシ、などとも訳される)』を併せて解釈しないと見えてこないのです。この二つの書物は、矛盾するような内容もあるんですが、そこが単なる矛盾ではなく、状況によっての使い分けであり、それらを包括する視点をマキアヴェリが持っていたという点に注目すれば、マキアヴェリの面白さがすっと入ってくると思うんですよね。
・石光真人編著『ある明治人の記録 会津人柴五郎の遺書』
すばらしかったです。買って読んでみます。