『ナショナリズムの復権(ちくま新書)』先崎彰容

| コメント(0)
 先崎彰容の『ナショナリズムの復権』を読みました。
 本書は、ナショナリズムが全体主義でもなく、疑似宗教でもなく、民主主義でもないということを示そうとしています。その上で、著者なりのナショナリズムの「復権」の意味するところも示しています。これらの試みが成功しているかは、正直微妙なのですが、こういった試みも必要なのだろうとは思います。
 本書では、ナショナリズムに関するいくつかの書物を参照しています。
 やっぱり、柳田国男は偉大ですよね。
 吉本隆明については、私はまともに読んだことは実はないんですよね。他の著作から、噂というか、雰囲気は何となく伝わってくるのですが、まったく読みたいという気がおきないんですよね。本書でも吉本について言及がありますが、やっぱり読みたいという気がおきなかったです。どうしたもんだろ? ま、いっか。
 本書で評価すべきは、ナショナリズムについて、柳田国男や江藤淳を参照して、「子孫」・「死者」・「時間の積み重なり」というキーポイントを提示していることです。このワードは、考察に値する価値が含まれていると思います。

コメントする