『20世紀をつくった経済学(ちくまプリマー新書)』根井雅弘

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  本書は『経済学はこう考える』の続編に位置づけられています。前作では多数の経済学者がバランス良く解説されていましたが、本書ではシュンペーター・ハイエク・ケインズの3名に絞って論じられています。
 3名とも基本からしっかりと論じられているので、入門書としては十分だと思います。ある程度の経済学の知識がある場合は、少し物足りなく感じるかもしれませんが。
 個人的には、資本主義の論じ方について興味を覚えました。
 具体的には、シュンペーターの『今日における社会主義の可能性』とか、ケインズの『自由放任の終焉』とかですね。シュンペーターは、〈かくして、資本主義秩序が生き延びるか否かに関する予見は、ある程度用語の問題に他ならない(p.78)〉と述べています。ケインズは、〈私としては、資本主義は、賢明に管理されるかぎり、おそらく、今までに現われた、いかなる他の体制よりもいっそう有効に経済目的を達成するのに役だちうるものであるが、それ自体として見るかぎり、資本主義は多くの点できわめて好ましくないもののように思われる。われわれの問題は、満足のゆく生活様式というものに関するわれわれの考えに逆らうことなしに、できるかぎり効率の高い社会組織を苦心して創り出すこと、である(p.94)〉と述べています。
 この2名の言葉から、資本主義について語るべき論点が見出せるかもしれません。

 

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