『グローバリズムが世界を滅ぼす (文春新書)』

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 本書では、グローバリズムに警戒感を抱く世界的知性が結集しております。エマニュエル・トッド、 ハジュン・チャン、中野 剛志、藤井 聡、柴山 桂太、堀 茂樹という豪華メンバーになります。

 2013年12月2日に国立京都国際会館(京都市左京区宝ヶ池)で京都・国際シンポジウム「グローバル資本主義を超えて ‐Beyond Global Capitalism‐」が開催されました。そのときの内容と、対談が合わせて掲載されています。

 シンポジウムのときは、翻訳の関係もあり、エマニュエル・トッドやハジュン・チャンの発言に聞き取れないところも多かったのですが、本書のように活字でまとめてもらえると、その主張をじっくりと吟味することができます。

 特に、トッドの発言には、知識人としての知的誠実性が感じられました。はっきり断言できないところはそれを明示し、自身の希望と異なる予測結果も誠実に話すということは、なかなかできることではありません。立場に微妙な違いがあったとしても、このような人物には敬意を抱かずにはいられません。まさしく、知的な議論ができる人物だと言えるでしょう。

 第3部の「自由貿易とエリートの劣化」は、考えるべき論点が多く含まれています。一読をお勧めします。


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