『世界を戦争に導くグローバリズム(集英社新書)』中野剛志

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 本書は、理想主義および現実主義というパワー・ポリティクスの考え方に基づき、グローバリズムを思想的に解剖し、日本の将来の危険性や展望を語るものになっています。
 気になった点について、二箇所ほどコメントしてみます。


<p.200>
 さらに言えば、二〇〇三年のアメリカによるイラク攻撃は、国連安保理の議決を経ていない武力行使であり、プーチン大統領による非難を待つまでもなく、明らかな国際法違反である。
 だが、当時の日本は、このアメリカの「力による現状変更」を支持した。日本もまた、「グロティウス的」規範を踏みにじっていたのである。


→ここは、極めて重要です。ちなみに中野剛志さんは、イラク攻撃についてはリアルタイムで批判していた実績があります。具体的には、『反官反民』の「反レジーム・チェンジ宣言」において、アメリカによるイラク戦争および日本のアメリカ追従を痛烈に批判した上で、〈このような事態に対し、何もできない非力さが無念であるが、呆けて事態を看過していたわけではないことを、後世に証拠として残すために、本小論をしたためるものである〉と述べています。証拠を残しているだけに、語る資格がありますし、その言葉にも重みがあります。



<p.220>
 安倍首相は、靖国神社に参拝したことで、中国、アメリカ、インドのいずれとも共有できない価値観の所在にハイライトをあててしまった。


→ここには、若干ですが違和感を覚えました。まず、この視点そのものに立ってはいけないと思うのです。靖国神社への参詣を共有できない価値観だと見なす視点そのものが、中国による戦略であり、アメリカも中国への追従として言ってきている面があるわけです。ですから、まずはこの視点そのものを外側から考えるべきでしょう。具体的には、国家を守るために死んだ戦士の慰霊として語り、共有できない価値観と見なす視点そのものを批判していくべきだと考えます。そうすれば、少なくともインドとは揉めないようにできるでしょう。


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