『いなくなれ、群青(新潮文庫nex)』河野裕

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 本屋で大きなポスターで宣伝していて、その絵柄が美しかったので買って読んでみました。

 大阪から九州への出張で、新幹線の中で読むのにちょうど良い分量でしたね。


 本作は、「階段島」シリーズの一作目だそうです。階段島という変な島でのお話になります。

 階段島には謎があり、その謎をうまく絡めながら話が進んでいきます。一作目にして、大まかな謎は明らかにされているように思えます。後は、細かい設定とかになると思うのですが、二作目以降にそれらをどう展開するかが鍵になるのかな?

 読んでいる最中に受けた違和感は、ある程度の納得できる理由が示されていると思います。そこらへんは、設定を含めてうまいなぁと感じましたね。設定からして当然ではあるのですが、キャラの個性が強いですね。ヒロインの真辺については、人によって感じられ方が大きく異なるような気がします。

 私は、このような人物には、何か歪んだものを感じてしまいますね。主人公とは違い、徹底的に議論によって軌道修正させようとする気がする・・・(笑)

 主人公の言い分については、かなり注意深くみないと分からない気がしますが、それなりの正論が含まれています。ただ、彼の望むことそのものは、徹底的に歪んでいると思いますが。

 主人公の考える正論と、ヒロインの正義がこの作品の軸になっているような気がします。それらは、異なる前提なのですが、完全に独立して交わらないというわけでもないものです。今後の話としては、そこを分けて話を展開する方が、話自体は作りやすいのかなとは思います。

 ただ、実際の現実においては、その二つの葛藤を通じて、それぞれの利点を共に内面化していくことが必要なのだと思います。でも、それをやってしまうと、小説としては話を作りづらいのも確かですね(苦笑)

 本作の設定上、ある程度はしょうがないのですが、ある種の人物の歪みが話を作り出しているわけです。その歪みを利用して今後の話を展開するのか、その歪みを修整して現実の人間味を出していく(それゆえ詰まらなく可能性を抱え込む)のか、そこらへんが次回作以降への注目ポイントになるのかもしれません。そんなことに注目するのは、私だけかもしれませんが・・・。しかも、次回作以降を読むかはまだ未定という(笑)


 ちなみに、以下のページで、各キャラの顔が見られます。

http://shinchobunko-nex.jp/special/001.html

 堀が思った以上に可愛いです。水谷は、一目で委員長と分かりますね。


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