『西田幾多郎 無私の思想と日本人(新潮新書)』佐伯啓思

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  著者があとがきで述べているように、本書は雑誌「新潮45」に連載中の記事をまとめたものになります。

 連載中のものを覗いていたりしていたので、本書は非常に楽しみでした。一通り読んでみましたが、やはりレベルが非常に高いですね。日本思想に興味があり、かつ西田幾多郎の言いたいことの要点をつかんだ者には、本書は魅力的に感じられるでしょう。一方、西田の言いたいことの要点をとらえそこなうと、意味のないことを難しい用語を利用して何かあるように述べているだけだと受け取られるかもしれません。

 しかし、要点をつかみ得た者には自明でしょうが、西田も著者も徹底的に論理的に考えているのです。

 本書は簡単な解説が難しいので、実際に読んでいただくのが一番です。それでも、お勧めポイントを述べておくなら、例えば「第五章 特攻精神と自死について」を挙げることができます。ここでは、『永遠の0』論も示されています。『永遠の0』については数多くの人が論じていますが、私の知る限りでは最高峰の解説となっています。まさしく、本物の知識人の言論というものを見ることができます。

 それは、とても贅沢なことではないでしょうか。


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