『坐禅の意味と実際 生命の実物を生きる(大法輪閣)』内山興正

| コメント(0)

 日本の曹洞宗の内山興正さんの著書を読んでみました。

 坐禅について、分かりやすく解説されています。

 坐禅の座り方を、ロダンの「考える人」との対比で考察されていたり、面白いですよ。

 内山さんは、〈坐禅は思いを手放しにすることによって、生命の実物そのものをわれわれに体験せしめますが、その生命の実物とは尽一切自己(すべてのすべてとぶっつづきの自己)なのでした〉と述べておられます。

 これは哲学的にも、深い洞察です。安易な神秘主義だとみなしては間違いですね。哲学的な見解としては、「第四章 坐禅人の自己」などで、かなり具体的に語られています。参考になります。

 内山さんは、〈地獄へ落ちたら地獄こそ今の私の生命なのであり、真直ぐに地獄を生きぬくことであり、もし極楽へ往ったら極楽こそ今の私の生命であり、真直ぐに極楽を生きぬくという態度〉を説きます。

 全面的な同意はさすがにできませんが、決してないがしろにしてはいけない見解だと思うのです。


コメントする