『表現者58』

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 本号の特集は、<「ポツダム」を超えて>です。

 特集テーマが良かったことも要因の一つだと思いますが、本号は良記事がたくさんありました。

 以下、気になった記事にコメントしてみます。


<鳥兜>

 一九三○年代の大恐慌時の対策は、金融緩和・財政出動・経済統制だったことが指摘されています。アベノミクスの三本目の矢は、まったく逆なのですね。つまり、人類は知的退化しているってことですね。


<憶い出の人々 最終回 「みんな死んでしまった」>西部邁

 論理性の裏に、感情の発露が見えるような気がします。最終回ということで、すさまじい内容になっています。「宗教団体で教祖を名乗った者はすべて詐欺師である」との暴言は、私もおもわず言ってしまいそうです(笑)。


<「ポツダム体制」とアメリカ帝国主義>柴山桂太

 非常に高度にまとまっています。情報整理および分析のレベルが素晴らしいです。


<日本人の内なる「ポツダム」を超克せよ>富岡幸一郎

 今年の連合軍のノルマンディー上陸作戦七十周年の記述は、注目に値します。原爆投下のシーンに、プーチンは十字を切り、オバマ大統領はガムを噛みながら拍手していたというのです。これを感情的に判断するのは危険でしょう。ここから分かることは、プーチンは一流の政治家であり、オバマは二流以下だということです。


<ポツダム宣言の就縛>佐伯啓思

 やはり佐伯さんの民主主義への洞察は見事です。戦後民主主義には、タブーが存在するというのです。そして、民主主義は全体主義を内包しているというのです。これは、重要な指摘です。



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