本書は、著者のアメリカとイギリスの体験記です。
分量はアメリカ編が多いですが、質的に重要なのはイギリス編の方です。少し、気になった文章を引用してみます。
個人主義が矛盾なく伝統主義と連絡するひとつの道があると僕は考えたいのです。要約していうと、それは「個人主義を個人主義的に脱け出る」という道です。もう少し言えば、個人の意識を認識的に掘下げていって社会に到達するというやり方です。ここで「個人主義的に」といったのは、認識が否も応もなく個人の頭脳から生み出されるということを認めるからです。
今後の保守主義へとつながる記述が散見されます。また、著者の特異なレトリックでもあります。
ちなみに、認識を個人に置くことから、著者は社会学的な思考をしていることが分かります。ここで、認識を自己と置くことも、自我と置くこともできますが、それによって、また別種の思考形態(哲学)を語ることができます。しかし、それはまた別の話ですね。
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