第6回(1984年) サントリー学芸賞・社会・風俗部門受賞を受賞した本だそうです。価値相対主義との闘いをかかげ、色々なテーマについて著者のレトリックが冴えています。例えば、「特性のない男」から引用してみましょう。
あなたの専門はなんですか、とよく聞かれる。ここ五年ばかりは専門知の退潮いちじるしいものがあるので、さすが、他人の専門をせんさくするものは少なくなったが、それでも、専門不明の人間は周囲にいくばくかの不安を与えずにはすまないようである。私は、厭味にきこえるだろうことを覚悟のうえで、専門をなくすのが私の専門です、と答えることにしている。
専門主義の弊害を打つための面白いアプローチです。
でも、やっぱり専門はあらざるを得ないのだとも思います。専門を無くそうとしたとき、そのための専門が出来上がらざるを得ないのだから。
専門にならざるを得ないのだが、専門にこだわり過ぎてしまう弊害も自覚しておくべきなのでしょうね。
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