2014年2月アーカイブ

 翻訳語の原意について、詳細に説明されています。

 値段が高いですが、内容は充実しています。

 ただし、注意が必要なところもあります。

 例えば、「公民」について、〈わが国には「私」はあっても、西洋的意味での「公」はないからだ。公民なる存在は自治や義務や奉仕、なによりも公共性に依拠している。それは悪しき意味での個人主義や私的利害の対極にあるはずだが、私的な個人が登場しないところには公民もまた現れない。「私」ばかりでは社会は成立しないが、やはり「私」あっての「公」なのである。〉と説明があります。

 まったく馬鹿げています。

 貝原益軒や荻生徂徠などが示した「公と私」の考え方が、まったく考慮されていません。

 なので、出典が示されている箇所は大いに参考にすべきですが、編集者の恣意的な解釈については大いに疑っておいた方がよさそうです。

 あと、やっぱり値段が高いです。


『表現者53』

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 今号の特集は、「保守論客が説く「全体主義」の本質」です。
 気になった論文にコメントしてみます。


【新春のフテンマ移設にまつわる雑感 宮里立士】
 「沖縄問題」の解決とは自衛隊の強化を含めた国防体制実現の他にありません。

→ これは素晴らしい意見ですね。よくぞ言ってくれたって感じですね。


【座談会 グローバル時代の「全体主義」】
 零戦モノの映画について富岡氏が、「ああいう浅薄なロマンティシズム、衰弱した祖国主義、偽のナショナリズムみたいな、百田尚樹が何百万部も売れているということに象徴される文化退廃は、ちょっと如何なものかと思いますね」と述べています。
 正直、私には何が如何なものなのかさっぱり分かりません。詳しく論じてほしいものです。他人を非難するからには、背後にしっかりとした論拠があるはずです。是非とも、どう偽のナショナリズムなのか分かりやすく説明してください。


【全体主義とナルシシズム 中野剛志】
 偽善と自己陶酔は、オウム真理教だけが特異なのではなく、どんな思想運動や政治運動にも潜んでいる。「リベラル」だろうが、「保守」だろうが、あるいは「リベラル保守」だろうが、掲げる大義にかかわらず、井上が落ちたような偽善と自己陶酔の罠が仕掛けられているのである。

→ これは確かにその通りです。


 人間が自己意識をもつ存在である以上、「私を滅する」と言ったところで、「私を滅する私」が出て来るだろうし、その「私を滅する私を滅する私」というものもまた出て来る。「私」が無限に出て来ていつまでも絶滅しないといった調子で、肉体を滅しでもしない限り、いつまでたっても自意識からは逃れられないのである。

→これは、ある側面からはその通りですし、別の側面からは間違っています。自意識の意味するところによって、二重の関係性が生まれるわけです。そして、二重の関係性において論じるなら・・・。


 漫画は、そこそこ読みます。

 手当たり次第読むわけでもなく、まったく読まなくなるわけでもなく。

 今は、木多康昭『喧嘩稼業』と川原正敏『修羅の門 第弐門』が面白い。

 基本的に、武道とか格闘技好きなんで。

 『喧嘩稼業』はこのペースで、いつになったら終わるんだ・・・?


 あと、羽海野チカ『3月のライオン』は凄すぎ、面白すぎ。

 『漫画は思想する』で何か書きたいけど、無理な気もする。


 あと、業田良家『機械仕掛けの愛』はすさまじすぎる。

 ただただ凄いとしか言えない。

 これも感想書きたいけど、まだ無理だなぁ。


 とりあえず、日本の漫画は素晴らしい。日本人で良かった。