本書は、前作の『炎の陽明学 -山田方谷伝-』の続編です。内容的には前作と重なる部分も多いですが、たいへん面白くて前作同様に読む価値ありです。
第一部は「ケインズに先駆けた日本人」です。p29に、〈山田方谷は儒教から資本主義を学んだ。「カネ」の流れが軽やかに遅滞なく行われれば経済は黙っていても発展するという資本主義の根本原理を熟知していた。これが方谷革命の謎を解明する最大のキーポイントなのだ。〉とあります。ワクワクしますね。p41には、〈山田方谷の公共投資をケインズ経済学のレンズをとしてながめる時、あまりの符号に舌をまかずにはいられない。〉とあります。具体的には、p50に〈低迷する経済に活力を与えるために、大規模な公共投資にふみきった。誰もが無謀とさえ思う膨大な資金を投入した、ケインズの不況対策の一つである公共投資が、方谷の企業手腕によって、短期間の間に、みるみる巨万の富を築く様は、サクセスストーリーそのものである。〉という記述が挙げられます。新自由主義の破綻が誰の目にも明らかになった現在、ケインズや山田方谷の方法論に学ぶべき点は多いはずです。
第二部は「方谷を支えた同志達」です。私は特に板倉勝静に心打たれました。勝静に救いの手をさしのべた人物として、土方歳三も出てきます。本物の武士の情にぐっときます。
p136には、〈勝静は家臣達がことごとく感服するほどに辛抱強く流転の日々を耐えた。終ぞ愚痴らしい愚痴をこぼしたことがなかった。〉という記述には、偉大な人物にふさわしい描写がなされています。p140の、〈美しい。何と美しい透明な心と文字の持主なのだろうか。備中松山の鬱蒼とした雪の山中で、方谷は蝦夷からはるばると送り届けられた勝静の手紙を前にして驚嘆の衝撃に打たれた。〉という箇所には、もはや無粋な解説は必要ありません。ただ、読んでみてくださいとしか私には言えません。
山田方谷は、本物の天才にして、本当に偉大な人物です。そして板倉勝静は、方谷と比して天才だと言うことはできませんが、秀才であり、本当に偉大な人物だと言えると思うのです。
第一部は「ケインズに先駆けた日本人」です。p29に、〈山田方谷は儒教から資本主義を学んだ。「カネ」の流れが軽やかに遅滞なく行われれば経済は黙っていても発展するという資本主義の根本原理を熟知していた。これが方谷革命の謎を解明する最大のキーポイントなのだ。〉とあります。ワクワクしますね。p41には、〈山田方谷の公共投資をケインズ経済学のレンズをとしてながめる時、あまりの符号に舌をまかずにはいられない。〉とあります。具体的には、p50に〈低迷する経済に活力を与えるために、大規模な公共投資にふみきった。誰もが無謀とさえ思う膨大な資金を投入した、ケインズの不況対策の一つである公共投資が、方谷の企業手腕によって、短期間の間に、みるみる巨万の富を築く様は、サクセスストーリーそのものである。〉という記述が挙げられます。新自由主義の破綻が誰の目にも明らかになった現在、ケインズや山田方谷の方法論に学ぶべき点は多いはずです。
第二部は「方谷を支えた同志達」です。私は特に板倉勝静に心打たれました。勝静に救いの手をさしのべた人物として、土方歳三も出てきます。本物の武士の情にぐっときます。
p136には、〈勝静は家臣達がことごとく感服するほどに辛抱強く流転の日々を耐えた。終ぞ愚痴らしい愚痴をこぼしたことがなかった。〉という記述には、偉大な人物にふさわしい描写がなされています。p140の、〈美しい。何と美しい透明な心と文字の持主なのだろうか。備中松山の鬱蒼とした雪の山中で、方谷は蝦夷からはるばると送り届けられた勝静の手紙を前にして驚嘆の衝撃に打たれた。〉という箇所には、もはや無粋な解説は必要ありません。ただ、読んでみてくださいとしか私には言えません。
山田方谷は、本物の天才にして、本当に偉大な人物です。そして板倉勝静は、方谷と比して天才だと言うことはできませんが、秀才であり、本当に偉大な人物だと言えると思うのです。