「構造改革はインフレ対策」は本当でしょうか?
まず、ここでは問題を簡単にするために、構造改革=規制緩和として考えていきます。
構造改革による規制緩和は、競争の激化によって供給能力を高めるため、需要超過であるインフレ時に採用すべき政策だと言われていたりします。
これって、本当でしょうか? かなり疑わしいと私は思うわけです。だって、今現在の日本は、構造改革しまくった結果、建設産業の供給能力が低下し、必要な公共事業を行えるだけの能力が不足してしまっているわけですよね?
だとすると、規制緩和すると、供給能力が高まる場合もあれば、供給能力が低下する場合もあるわけです。だとするなら、インフレ時だからといって、安易に規制緩和すれば良いというような問題でもないと思うわけです。少なくとも、規制緩和をするには、いくつかの条件があると思うのです。
例えば、国内に特定の産業分野が集中しすぎている場合とか、特定の産業分野における協定が価格競争力を著しく低下させている場合とかです。これらの条件の基準は、もちろん国家の経世済民の考え方に依拠すべきでしょう。
具体的には、国家の経世済民から考えた場合、あらゆる産業分野がバランス良く配置されていた方が善いと考えられます。その観点から、特定の産業分野が肥大化しているときは、その産業分野を保護している規制を緩和し、他の産業分野に人材を回すことで、適切な範囲まで持っていく方法が考えられます。また、特定の産業分野の協定が、他の産業分野との釣り合いから不公平な場合も、その協定に対し、規制緩和すべきだと考えることができます。この観点からは、特定の産業分野に対し保護政策をすることも、もちろん正当化されます。
この経世済民の立場から、たとえインフレ時だとしても、規制緩和によって(他国との価格競争などを通じて)国内の特定産業が弱体化や消滅するようなことは避けるべきだと言うことができます。
まあ、ここのところは、まだ考え中でもあるので、間違いがあったら指摘してください。
三橋さんには申し訳ないんですが(笑)
規制緩和によるインフレ抑制というのは、供給能力の拡大によるものではないと考えています。
インフレ退治で有名なサッチャー政権の政策(民営化や規制緩和)は、カルドアによれば、失業倒産を通じ労働組合の力を弱め、賃金交渉力のバランスを変化させ賃金率の上昇を抑える政策だとのこと。
価格に反映されるコストのうち、大きな部分を占める賃金の上昇を抑えこみ、価格上昇を防ぐと同時に、失業を通じて需要を減らすということになります。
失業者など大量に生み出しますので、あまりいい政策ではないように思いますね。
ゆたろ君、コメントありがとう。
> 規制緩和によるインフレ抑制というのは、
> 供給能力の拡大によるものではないと考えています。
自分の考えでは、
規制緩和は供給能力の拡大になる場合もあるし、
ならない場合もあるし、
それどころか供給能力の縮小になる場合もあると思う。
状況に依るとしか言えないと思うんだ。
>インフレ退治で有名なサッチャー政権の政策(民営化や規制緩和)は、
> カルドアによれば、失業倒産を通じ労働組合の力を弱め、
> 賃金交渉力のバランスを変化させ賃金率の上昇を抑える政策だとのこと。
う~ん。順序が若干気になる。
労働組合の力を弱めるから失業が増えるんじゃないかな?
あと、失業させやすくするのって、
長期的には倒産の原因になる可能性もあるけど、
短期的には倒産を防ぐ役割もあると思う。
ここは、もう少し詳細に詰める必要があると思う。
> 価格に反映されるコストのうち、
> 大きな部分を占める賃金の上昇を抑えこみ、
> 価格上昇を防ぐと同時に、
> 失業を通じて需要を減らすということになります。
労働者を解雇することによって人件費が浮いても、
それが価格上昇を防ぐことに必ずしもつながるわけではないと思う。
価格上昇を防ぐには、
競合他社の存在が必要だと思う。
独占や寡占に近い状態なら、
規制緩和で競合他者を生み出すことには意味があると思う。
もともと有力な競合他社がいる場合は、
解雇によって価格上昇を防ぐことはありえると思う。
あと、失業を通じて需要を減らすことは、
そうなる場合もそうでない場合もあると思う。
> 失業者など大量に生み出しますので、
> あまりいい政策ではないように思いますね。
う~ん。
規制緩和が必ずしも失業者を生むわけではないと思う。
これも、生む場合もあるし、生まない場合もあると思う。
例えば、規制緩和で、いままでできなかった手法が利用できるようになった場合、その手法のための人を増やすということはありえると思うよ。