『ことばの闘い』「倫理の起源58」についての議論(1)

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 だいぶ前からですが、LINKに【小浜逸郎・ことばの闘い】を追加しています。

 このサイトの「倫理の起源58」(2015年1月3日掲載)の内容に違和感を覚えたため、コメントで質問してみました。

 

 以下、違和感を覚えた箇所です。

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 1999年に、ユング派の心理学者・林道義氏(ベスト・セラー『父性の復権』の著者)との対談集を出した(『間違えるな日本人!』(徳間書店)。このなかに、漫画家・小林よしのり氏の『戦争論』(1998年・幻冬舎)をかなり長く批評した部分がある。当然特攻隊の問題にも言及したので、その箇所における林氏の発言を一部引用しておこう。

 もう一つは、(小林氏の『戦争論』の中に――引用者注)特攻隊を美化する表現がありますが、特攻隊の人たちは、国のためを思って自発的に参加したわけではない。志願したというけれども、自発的な志願ではありません。ここの部隊では何人の特攻隊員を出せというようにノルマとして上から来ている。そして説得があって、最終的には志願という形になりますが、本当の純粋な志願などではない。
 私の親戚に特攻隊員が何人かいましたが、一九四五年の正月に妻のいとこが特攻に出撃する前に、暗黙のうちに家族に別れを告げに帰ってきた。そのときの話を聞いてみると、それはかわいそうです。自分は本当は行きたくない。けれども、国のために行かなければいけないという感じで、無口で暗い沈んだ感じだったそうです。かっこいい白いマフラーを巻いてさっそうとした姿ではあったが、何か淋しげだったそうです。
 妻の兄が軍国少年で、特攻隊に志願したいというのに対して、そんなことはやめろと言う。「親を泣かせてはいけない」「戦争に行ってはいけない」と言ったそうです。そして、妻に凧を買ってくれて、二人で丘の上へ行って凧を揚げていると、飛行機が飛んでいくのが見えた。「お兄さんもああいうふうにして飛んで行くのね」というと、何にも言わず、ただ空を見ていたそうです。そしてしばらくして戦死してしまった。本当に優秀で男らしくて立派な若者だったそうです。もっと早く戦争を終わらせていれば死ななくてすんだという家族の思いは、『戦争論』の中には出てきませんね。
 ですから美学などというものではありません。志願もしていないし、公のために死のうとか、そんなことは全然ない。なかには本当に信じ込んでいた人もないとは言いませんが、多くの人は半ば強制されていた。公共のために死ぬんだなんて、それ自体が美しいかどうかは別として、実態はそういうものではないんですね。

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 次に、コメントで質問した内容です。 

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「倫理の起源58」に記載されている林道義氏の発言に違和感を覚えました。私が彼の意図を読み間違っているだけかもしれませんので、2つほど質問させてください。

質問1:林氏の発言に、「自分は本当は行きたくない。けれども、国のために行かなければいけないという感じで、無口で暗い沈んだ感じだったそうです。」という箇所があります。「~という感じ」とありますが、これは「妻のいとこ」が実際に述べた内容なのでしょうか?

質問2:質問1の答えにもよりますが、「自分は本当は行きたくない。けれども、国のために行かなければいけないという感じで、無口で暗い沈んだ感じだったそうです。」という文章と、「志願もしていないし、公のために死のうとか、そんなことは全然ない。」という文章では整合性が取れていないように思えます。林氏は、「妻のいとこ」が嘘を吐いたと主張しているのでしょうか? 説明していただきたいです。

以上、ぶしつけな質問ですが、回答いただけると幸いです。

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 つまり、「国のために行かなければいけない」と言っている(?)のに、「公のために死のうとか、そんなことは全然ない」と言っているのは変じゃないかということです。

 おそらく、私と小浜氏の「特攻」についての見解は異なっていると思われます。その相違を、できれば議論によって深められればと考えています。

 

 少なくとも私は、議論の筋が通っている意見に賛成するつもりです。その際、私の発言に間違いがあると分かれば、きちんと修正するつもりです。

 

PS.

 小浜氏へは、事前にメールで、

> ブログの方も新しいものから読み始めています。
> 疑問点など浮かびましたら、コメントを投稿させていただくかもしれません。

と述べています。念のため。

 

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